Teddy Bear Loves Person

柏原寛司 x イノウエカンナ

各界で活躍する人々にイノウエカンナがインタビューする

 

 
 
柏原寛司 | Hiroshi Kashiwabara
脚本家 ・ 映画監督
一般社団法人シナリオ作家協会 会長
協同組合日本シナリオ作家協会 副理事長

 

映画 = アタマ < 体力

太陽にほえろ!』や『あぶない刑事』シ リーズなどの刑事アクションものから、  『ルパン三世』『名探偵コナン』等のアニ メまで、テレビや映画の世界で数多くの 人気作品の脚本を手がけてきた。201 6年は、大人気シリーズでもある『あぶ ない刑事』の最終作 『さらばあぶない刑 事』の脚本を手がけ、本作は興行収入15 億円の大ヒットに!  そして脚本(ホン) を書くことだけに留まらず、みずから監 督としてメガホンをとる映画人。映画監 督としても『キリマンジャロは遠く』が公開されます。今回はそんなちょっと危険な?シナリオライター柏原寛司氏にちょっと刺激的でアブナイ話を伺う機会を戴けました。

脚本家になられた経緯、きっかけ等、教 えてください。

本当は監督になりたかったんですよ。監督をやりたいと思っていて、当時黒澤明(監督)の本だったか雑誌に『監督になるには脚本を書けなきゃいけない』っていうのをよんでね、それでシナリオ作家協 会主催のシナリオ研究所というところに入所してシナリオをかくことを始めました。そこからしばらくは現場に行く手段 をさぐっていたんだけど、そのまま自然とライターになってね。

 

何歳ぐらいのことですか?

シナリオ研究所は半年間だけなので、その後しばらくして新井一先生という人が シナリオセンターをつくるというのでそっちへ行って、そこで東宝のプロデューサーから子供番組の脚本を書けるやついないか?という話があったので手を挙げ て『クレクレタコラ』っていう番組の脚『本を書いてそのままずっとライターになりました。それが23才24才の頃かな。 とにかく監督になりたかったんで。当時監督になるにはいわゆる助監督試験を受けなくてはならなくて、それを受けるには大卒じゃないといけなく、浪人していたる間にシナリオの学校に行って、大学を受けなおして。三浪した形で大学行ってたの。だからそのころ大学生だったん ですよ。

映画監督は子供のころからの夢だったん ですか?

夢というか…そんなはっきりした夢じゃ ないんだけど。小学校のころは落語家に なろうと思っていたからね。この近所(人 形町)には映画館が7つあったんで、映 画とか見まくっていたんです、みんなで。 だから自然に映画のほうへいっちゃった 感じかな

これまでに沢山の脚本を書いてこられた うえで、これから書いてみたい脚本はあ りますか?

これからはね、あまり脚本家やる気がな くて、監督業を多くしようとしているの であまり書く気はないです。もう他人に 脚本を書いてもらう。というのも、基本 監督が全部自分でやってしまうと世界が 狭くなるから、他人の良いところをいた だくというのが映画監督の仕事。黒澤明 がすごいのは優秀なライターを4人集め て、みんなに書かせて自分の手柄にするという、それが一番いいんで。市川崑も そうだよ。黒澤さんは自分もその中に入 ってやるんだけど、俺は入ったり入らな かったりで。そういう形でやったほうが ね良いね。一人で書くとねどうしてもそれは視野が狭くなるから。

 

映画監督 柏原寛司として、いちばん大切 にしているものは?

役者をいかに魅力的に撮るか。キャステ ィングを自分でやるときもあるし、ある 程度決められているときもあるし。脚本 でも監督でも同じことで、役者を魅力的 にするということがその作品、その映画 を面白くするための第一歩。

 

『映画をつくること』とは

映画を作るっていうのはいろいろあって 一概には言えないんだけどね。需要と供給のバランスで。オファーがあって、たとえば『あぶない刑事』の場合だともう全ての設定が決まっている中で、主役の二人が次どんなアブナイことをしようか ってところから始まるわけですよ。原作があるものはその原作をどう面白くしようかって考えるわけで。原作がなくてオリジナルの場合は自分がやりたいものを どうやろうかと。それはアイデアのとき もあるしキャラクターのときもあるし。 頼まれてもオリジナルってこともあるので、だからそれは微妙なところで、ケー スバイケースでみんな形がちがうと思うんだね。

特に大変な作業はどういうところでしょ う?

映画作りは全部大変。最初から終わりま で。監督というのは一日にものすごい数 の決断をしなければいけなくて。決断が おくれると諸々のことが滞るから、もの すごい数の決断をしていくというのが監 督の仕事なんです。

才能が必要ですね。

才能というか、運動部系に向いてる世界。勉強できる人系はちょっとやばい時があ りますね。悩んじゃったりとかノイロー ゼになったりだとか。運動部系はぜんぜ ん平気だから。「大丈夫、大丈夫!! いっちゃえよ!!」みたいな。(笑)ちょっと危ないことを平気でやれる人のほうが向 いてるね。俺もたまにやるんだけど、俗 に言うピンク映画はロケする場所もそう いう映画だと貸してくれないわけ。そのときは違う台本を見せて、「この撮影をや るから貸してくれ!」って言って実は違う映画でしたっていうこともするわけよ。 やり逃げっていうかね。警察の許可を取らずに撮ってしまうとかね。(笑)

もうそれ、事件扱いですよね。

そんなのしょっちゅう。そういうの平気じゃないと映画屋さんは務まらないとい うか。(笑)

実際に問題になったりしませんか?

問題になるけど、全然平気なんだよ。大きな映画配給会社は問題になるのが嫌なのでやらない。やってしまうと次に何かやろうとしたときに警察が許可出さないわけ。石原プロはそういうところは強いんで、やっちゃうわけ。ビル壊すわ、煙突倒すわ、全然平気なんで。(笑) 今、いくつ?

39です。

そっか、じゃあ西部警察のオンエアは観 ていないかな。むかしのテレビドラマや 映画はそういうこと平気でやっていたん だけど。さいきんはみんなやらなくなったね。もう、爆破する場所もないんでね。 許可が出ないんで。だから映画はなかなかね。オリジナルビデオはまだやってる けど。(笑)

これオフレコですね。

オフレコじゃないよ。やばいシーンを撮るときは助監督に、もし警察が来たらおまえが監督だと言っておまえが捕まれって言うわけだよ。捕まってる間に俺が撮るからってことでね。(笑)ただこれはすごくお金のない映画の話だからね、自分たちでローコストでやってる。東宝とか東映とか大きな会社はちゃんと段取り踏んで警察にも許可を取ってるからね。でもそれが面白いんだよ!ムチャなことをやるのが面白さで、いかにダメなところをなんかをごまかして、色んなことをするかっていうのが楽しい。(笑)

東京国際映画祭の審査員もされていたん ですね。

昔ね。

審査をされるときに大事にしていたことはありますか?

東京国際映画祭以外にもいろいろ審査員をやっているけれど、新人がいかに他の人とは違う新しい面を持っているかというところを重視しています。そうでないと新人を選ぶ意味がないので。上手くできているよりも、上手くできていなくて も新しさがあるほうがいい。上手くできるというのはね、プロはみんな上手く作るのが当たり前なわけで、そうじゃない 新人の良さって言うのはプロにはない面白さを持っている人だから。つまり作家 性があるかないかで、作家性がないとみんなとおなじになるわけです。誰が撮っても一緒。この人に撮らせるっていう意味がないといけない。例えば小説を読んでもみても、司馬遼太郎と筒井康隆とは 違うじゃないですか。だから彼らはそれ なりに評価されて有名になっているわけ で、抜きに出る人というのは人とは違うことをやっている人で、それはその作家 性なので、その作家性があるかどうかは 評価するうえで大事なポイントですね。なんでも一緒ですよ。どの世界でも。新 人が出てくるということは今までの人た ちとは違うことをやってるということ。 同じだとだめなので。役者もそう。

前回の[テディーベア ラブズ  パーソン のゲスト] メディコム・トイ社の社長 赤 司竜彦さんから柏原さんへの質問をいた だきました『未だかけていない、または 死ぬまでにかきたい脚本がありましたら 是非、さわりだけでもおしえていただき たいです。』

プロは注文があってナンボですから、映 像化の可能性がない脚本を書く気は自分にはありませんね。いつかプロをやめて アマチュアになったときには、もしかしたらまた脚本を書きたくなるかも知れませんが…

最後になりますが、テディベアを作っている、またはプロと して活動している作家さんにむけて、ひと言戴けると嬉しいです。

アドバイスというと上から目線になるし、知らない人たちへのアドバイスというのはしたくないので、柏原寛司という人間にインタビューしたらこういうこと言ってたというのは載せてくれて全然OKですよ。

柏原さんの様なものづくりへの姿勢はな かなか…(笑)

映画のプロはね、みんなこうですよ。みなさんが知ってる某監督なんて俺よりもっとひどいからね。(笑)スタッフ寝ないんだから!何日間も。寝かせないんだから。何日も寝ないで撮ったりとか平気でやるわけで。

平気でですか?

映画監督は、頭じゃなくて体力!!

インタビュー掲載号「テディベアボイス VOL.108」は日本テディベア協会(下記URL)からお取り寄せできます。

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